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【体験談】エピソード003 今日・明日がヤマ

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※ご注意

この記事は息子が人食いバクテリアと呼ばれている劇症型溶連菌に感染した際の実際の体験を、記憶、LINEのメッセージ、写真などを元に書いたものです。

当時の私がそうであったように、人食いバクテリアに感染したご本人、ご家族、ご友人などは、わらにもすがる思いで回復した例が無いか探していると思います。

そんな方々がこの記事の例に少しでも希望を持てれば幸いと思い、息子の了承を得て公開することにしました。

私自身は医療関係者ではないため、治療方法、予後の処置、リハビリなど不正確な部分も含まれる可能性がありますこと、ご容赦願います。

特に治療やリハビリについては患者さんごとに状況が異なるため、この記事に書いてあることはひとつの症例であり、全ての人食いバクテリア感染者に有効なわけではないと思います。

実際の治療やリハビリの方針等は担当のお医者様や理学療法士の方と相談して頂く方が良いと思います。

なお、息子が今後、公開を拒むようなことがあれば予告なく非公開にすることがあります。

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自分の両親もヘルプに

病院から緊急の呼び出しがあるかわからないため、下の子の面倒を私の両親にお願いした。

1カ月くらい泊まるつもりで来てくれないかと、どれだけかかるかわからない息子の治療のため、長期のヘルプ依頼。

幸いにも私の両親は仕事も引退し、悠々自適な老後ライフを過ごすため田舎に移住していたので、二つ返事で快諾してくれた。

まぁ、仕事を引退していなくても来てくれたと思うが。

下の子も発熱外来へ

下の子も耳が痛いと言って熱が出ていて、耳鼻科で中耳炎の診断を受けていた。

抗生物質も処方されて服用はしていたものの、上の子の状態を見ると心配で小児科の発熱外来で血液検査をお願いした。

一通りの症状とすでに抗生物質を服用している旨を伝え、血液検査をお願いした。

医師曰く、すでに抗生物質の服用している場合、薬の効果で値が変わるためあまり血液検査しても意味がない、と断られた。

なので、上の子がインフルエンザから敗血症性ショックになってICUで治療中だが多臓器不全の状態で厳しい状況であることを伝え、下の子も同じ家にいたので同じ菌に感染している可能性と、下の子まで同じ状態にはしたくない、と伝えると、

「本来は薬を服用後の今の状態で血液検査をする意味はあまりないのだが、お気持ちはお察しします。なので検査の実施と計測後の解釈も合わせて説明します」

と言って、血液検査をしてくれた。

検査の結果は、抗生物質が有効に効き始めている兆候が見られるので治療としては良い方向で進んでいるということだった。

その後、その医師は「上のお子さんが敗血症性ショックになったことは本当に悔しいし、後悔もたくさんあるかもしれませんが、決してご両親の対応が悪かったということはないと思いますので、自分を責めないで下さい。どんなに注意深く子供を見ていても、運悪くそのようになってしまうことはあります。」と励ましの言葉をかけてくれた。

緊急の呼び出しはなく

病院の面会可能な時間は午後から。

そのため、午前中に息子の状態が大きく変化すれば、緊急連絡先にした妻のスマホに電話がくる。

この日の午前中もその電話が鳴らないか、ビクビクしながら過ごしたが、午前中はならなかった。

少しでも息子の状態が良くなっていることを祈りながら、午後病院へ向かった。

一晩経った息子の状態は今日・明日がヤマ

病院に着いて、面会の手続きをした後息子のベッドがあるICUの病室へ。

すぐに担当の医師が昨日からの経過を教えてくれた。

少しでも快方に向かっているという言葉を期待したが、現実はそう甘くはなかった。

医師からは

・昨日の状態を維持している状態

・依然として予断を許さない状態が続いている

・今日、明日を乗り切れれば希望が見えてくる

・心拍を下げる、血圧を上げる方向に治療をしている

・尿が出てくれば良いがほとんど出ていない

・出血が致命傷になりかねないため、血圧上昇の薬もバランスを見ながら投与している

・拍動を強める薬も少し下げるとすぐに弱まってしまうため、まだ自分で心臓を動かす力が弱い

・今は抗菌薬(抗生物質)で感染症を制御しているところなので、本人がそこを乗り越えて自分で菌をやっつけられるかがカギ

昨日より少しでも回復しているのか、聞いてみたが「どちらとも言えないが、劇的に悪くなっていない点は治療が有効に効いていると考えている」と。

そして、息子の上の前歯が1本抜けたらしい。

看護師さんが、喉の痰を吸い取る時に気付いてくれて拾っておいてくれた。

元々グラグラして抜けそうだった歯なのであれば病気の影響というわけではないらしい。

こんな体の状態でも成長してるって、人体って本当どうなってんの?と思ってしまった。

少しの状態の変化に一喜一憂

夕方になり、少し尿が出た様子。

腎臓が回復しつつあるということか尋ねたところ、「一喜一憂はできないが1つの事実としては良いこと」との返答。

少し安堵した。

心拍も130→110に下がっては戻り、血圧も70→110上がってきては戻り、を繰り返していてどうしても一喜一憂してしまう。

少しでもポジティブに捉えないと自分の心が押しつぶされそうだった。

写真を撮ると、何か息子の最期を記録しているような気持ちになりそうで嫌だったので、入院した日は写真は撮らずにいた。

この日、初めて入院後初めて息子の写真を撮った。

最期の記録ではなく、回復までの記録だと思って。

左:挿管されて全身を強制冷却されている息子 右:内出血した足(膝と脛)

でも、今一番辛いのは病気と戦っているこの子だと思うと、弱気な思考ではいけないと気持ちを切り替えることの繰り返しだった。

この日は、その後状態は大きく変わらず、その日も面会時間終了となり妻と自宅に戻った。

両親が下の子の面倒を見てくれていたし、夕飯の準備などの家事もやってくれていたので非常に助かった。

こういう時、頼れる人がいるのは本当に幸いだったと思う。

風呂に入って、少しでも寝た方が良いということで布団に入ったが、やはり寝られない。

寝られないまま日付が変わり、私の40歳の誕生日はこうして終わった。

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