株主優待のクロス取引ってリスクゼロで優待をタダ取りできるって言うけど本当に世の中そんなおいしい話ありますか?
確かにリスクゼロとかタダ取りと言われると、逆に不安ですよね。実際、厳密に言うとゼロではないです。条件付きで”ほぼゼロ”に近づける方法はありますので、詳しく見ていきましょう!
こんにちは! ノブです。
今回は株主優待をリスクゼロでタダ取りできると噂の優待クロス取引を取り上げたいと思います。
2万円の優待を取るために6万円以上のコストをかけてしまった、など過去の私の手痛い失敗談も合わせてご参考にして頂けると幸いです。
株主優待は本当に”タダ”で取れるのか
実は完全なタダではない
ちまたでは”タダ取り”と言われていますが、株主優待のクロス取引でもコストがかかります。
私がビックカメラ(3048)の株をクロス取引した際のコストを例に見てみましょう。
貸株料、新規手数料、逆日歩などのコストがかかっているのがわかります。
この例では、諸費用計312円+210円の合計522円でビックカメラの買物券2000円分を取得しました。
しかし、この例でわかるように同じ銘柄でもコストがかかったりかからなかったりする項目があります。
これらのコストがどうやって決まるかわからないまま、クロス取引に手を出すのはちょっと怖いですよね?
冒頭にも書いた私の例のように、
2万円の優待を手に入れるために6万円のコストがかかる
なんてことも平気で起こるのでこれから優待クロス取引を始める人は最後まで読んで知識を深めてもらえれば嬉しいです。
損失のリスクを小さくするには
繰り返しますが、コストがかかるということは、そのコスト次第では優待で得られる価値より多くの費用を支払う可能性がある、ということです。
ここでは、その損失リスクを小さくための方法をポイントを絞って説明します。
ポイント1
一般信用取引を使う
特に投資初心者や、クロス取引初心者が優待クロス取引を行う際は、一般信用取引を使いましょう
損失リスクの中でも最も金額的に大きい可能性があるのは、逆日歩です。
冒頭のコスト6万円の例は逆日歩が原因です。
こいつはマジで、食らうと一撃でやられます。
それまで順調にクロス取引で積み上げた利益を、一撃で損失まで吹っ飛ばします。
この要素を排除することは最重要です。
一般信用取引を使えば、逆日歩は100%かかりません。
一般信用取引って何?という人は、信用取引には一般信用取引と制度信用取引の2種があることをおさえてもらえればOKです。
先ほどのビックカメラの取引の上は一般信用でクロスしたもの、下は制度信用でクロスしたものです。
これらの違いの細かい部分は重要ではないので割愛しますが、一般信用では逆日歩がないことが理解頂けると思います。
魅力的な株主優待を提供している銘柄は、権利確定日には大なり小なり逆日歩が付くと思って良いです。
みんな優待欲しいですからね。
制度信用でのクロス取引は逆日歩で大赤字になる可能性のあるギャンブルです。
制度信用は貸株料が安い、在庫切れを心配する必要がほとんどない、何より逆日歩がない場合もある、という悪魔の誘惑に負けずに、一般信用を使いましょう。
一般信用を使った方が、結果的にコストは安く上がることが多いです。
上記のビックカメラの例でも、100株当たりのコストは
一般信用:78円 (312円÷4)
制度信用:210円
となり、一般信用の方が安く上がってます。。
ポイント2
休場中に発注する
クロス取引の発注は休場中に行いましょう。
クロス取引が優待のタダ取り言われるのは、
現物買いと信用売りを同じ株価で行うことにより、
株価の上下の影響を受けずに優待を取得できるからです。
売買ができない時間帯つまり休場中に成行で発注することで、
市場が開いた瞬間の始値で買いも売りも約定することで成立します。
これが場中の発注になると、成行で発注しても発注のタイミングがずれるので、
買いと売りが同株価にならないのです。
買いと売りの株価が1円違うと、100株で100円の取得コストが発生します。
数十円のコストを意識しているのに、同株価で成立しないなんて、
こんなお粗末な話はありません。
当然、私はやってしまったことありますが・・・何か?
あと、少し応用編としてクロス取引に慣れた人向けになりますが、
場中の発注でも引成で発注をすれば、
買いと売りを同株価で約定させることができます。
人気銘柄の一般信用の在庫が場中に急に復活した時など、
待ってたら在庫なくなるーーって時は試してみて下さい。
こちらはあくまでも少し、慣れた人向け。
クロス取引のコストを整理
貸株料&金利
これらはどちらも借りたもの(お金または株)に対する利息です。
信用取引を行う際に発生します。
- お金を借りて株を買うのが信用買い
- 借りたお金に利息が付く(金利)
- 株を借りてそれを売るのが信用売り
- 借りた株に利息が付く(貸株料)
クロス取引に信用売りは必須です。
したがって、貸株料から逃れることは出来ません。
信用売りでかかる貸株料は↓のように計算します。
- 信用売り時の株価 × 貸株料 × 権利確定までの日数 ÷ 365日
利率は証券会社によりまちまちですが、およそ1~4%です。
例えば、SMBC日興証券の貸株料は1.4%です。
取引手数料
株を売買する時に発生する証券会社に払う手数料です。
これは証券会社によっても違います。
同じ証券会社でも取引する金額によっても違うし、手数料コースがいくつか用意されていて、どのコースを選ぶかによっても違います。
SMBC日興証券は信用取引の取引手数料は無料となっています。(2021/7/14時点)
SMBC日興証券を勧める理由の一つはこれです。
この手数料がないだけでかなりクロス取引の幅が広がります。
逆日歩
大事なので最初にもう一度言います。
一般信用取引では逆日歩は発生しません。
制度信用でのみ、信用売りと信用買いの数が極端に信用売りに偏った時に、バランスを取るために発生します。
要は”信用売り多過ぎですので、貸株料以外にも手数料上乗せします”ということ。
この追加手数料があることで、信用売りと信用買いのバランスを戻そうということです。
初心者は制度信用は避けましょう。
この逆日歩、額が事後にしかわからないというのが最強レベルに厄介です。
翌日の10時~11時くらいに、昨日の逆日歩は1株あたり○○円でした、と発表されます。
つまり、額がわかった時には支払いが発生しているのです。
そして、優待のクロス取引のような権利確定日をまたぐ日というのは高額な逆日歩がつくこともざらです。
私の過去最高の逆日歩を食らった取引は2020年12月のブロードリーフ。
一株あたり32円で2000株なので、64,000円です。
↓の例では、700株だけ12/25に売りを建てているので、権利確定日の前日も逆日歩がついたため少し上乗せされてます。
逆日歩は↓のように計算します。
- 一株当たりの金額 × 日数 × 株数
上の例では、6.4円 × 5日 × 2000株 ですね。
年末のため、受渡までの日数が長かった(5日)ことも一つの原因ですが、それにしてもこれでもらえる優待が2万円のVISAギフトカードなのだから切ない。
お気づきの方もいるかも知れませんが、逆日歩は休場日も日数分加算されるという恐ろしさ。
土日や連休をはさむとこのように丸焦げに焼かれるわけですね。
最後にもう一度言います。
初心者は制度信用は避けましょう!
隠れコスト
それは”時間”です。
上記コストを計算する時間、銘柄を選ぶ時間、優待内容とコストを比較する時間、一般信用の在庫を確認する時間など、実は結構多大な時間を使います。
その時間、減らせないんですか?
安心して下さい!教えますよ!(とにかく明るい安村風)
隠れコストの時間を減らす方法
- 先人の知恵を拝借
- 自分がクロスした銘柄、日付を記録
時間を減らす方法をとしては、まずなんといっても先人の知恵を借りましょう!
過去にクロスした銘柄をブログにまとめている人もいますし、Twitterでつぶやいている人もいます。
有益な情報を発信していると思える人を見つけて、まずはその人の方法を真似てみるのが良いでしょう。
私は以下のブログ、サイトを活用していますので、ご参考まで。
りーえるさんの株主優待ブログは毎月どんな銘柄があるか、いつクロス取引をしているかなど大変参考になります。
ごきげんライフは独自の優待クロス取引のコスト計算ツールを提供しており、コスト計算が非常に楽になります。
さらに、ごきげんライフのアプリは各証券会社の一般信用売りの在庫状況をわりとリアルタイムで確認できます。
在庫復活の際に通知してくれる機能もあるので、非常に重宝します。
通知が来た時には手遅れのことも多いですが、朝の時間帯なんかは通知後でも残っていることが結構あります。
また、クロス取引を始めたら必ず自分が取引した銘柄、クロスした日などをメモしておきましょう。
1年後、またその銘柄が欲しい時に必ず参考になります。
クロス取引チェックリスト
ここから、優待クロス取引をする際にチェックしておく項目を順番に列挙します
優待取得条件
継続保有の条件がないか、ある年だけの限定では無いか
せっかく権利を取得しても、継続保有の条件を満たしていないため、優待が届かないとなると、コストの払い損です。
必要コスト
貸株料:
株価 × 貸株料 × 権利確定日までの日数 ÷ 365日
取引手数料:
売買の金額による、証券会社や手数料プランによっても変わる
SMBC日興証券の場合はダイレクトコースにすれば、売り買いとも信用取引を使えばゼロに。
楽天証券の場合は一日定額コースなら1日あたり100万以下の銘柄ならゼロに。
1日の取引額で複数銘柄取引して100万超える場合は手数料かかります
SBI証券の場合はアクティブプランで1日あたり200万円以下の銘柄ならゼロに。
1日に複数銘柄取引して、トータル200万円を超える場合は手数料かかります。
逆日歩:
一般信用取引なら考えなくて良い。
制度信用取引の時に信用売りがめっちゃ多い時に発生。
金額は事後にわかることに注意。
休場中の日数も加算される。
信用取引の種類
一般信用取引と制度信用取引がある。
初心者は一般信用取引を使う。
一般信用:
逆日歩は発生しない
在庫に制限がある
金利が高い
制度信用:
逆日歩発生の可能性がある
在庫切れはない
金利は安い
返済期限
信用取引は株なりお金なりを借りて取引するので、返済期限というものがあります。
注意しなければいけないのは、楽天証券やSBI証券で一般信用短期を使うケース。
一般信用は証券会社が独自に設定している信用取引なので、長期(無期限)、短期、一日など、何個か種類があります。
クロス取引の売り建てで使用するのは長期(無期限)を最優先に、どうしても欲しい場合は短期も使用するというイメージ。
一般信用短期は、信用返済期限が14営業日なので、権利確定まで14営業日以上あったら、権利確定を前に強制的に返済されてしまいます。
必ず、信用売りを建てる際には、一般信用のどの種類を使用しているかと、その返済期限を確認して、権利日をまたげることを確認しましょう。
成行注文のタイミング
注文のタイミングは必ず、休場中に!
一般信用の急な在庫復活などで、やむを得ず場中に注文する場合は、引成で発注しましょう。
ただし、大引けでの引成注文だと、信用買いの時にその日のうちに現引きできないので、2日分の金利と現物の取引手数料を比較して注文しましょう。
現引(げんびき)、現渡(げんわたし)
クロス取引で忘れがちなのが、現引と現渡の注文。
現引は信用買いを現物にするために、現金を支払う注文。
これを忘れると、現物を持っていないことになるので、優待は届きません。
現渡は信用売りで先に売った分の株を現物の株で返済する注文。
これを忘れると、信用売りの貸株料がやらなかった日数分余計にかかります。
SMBC日興証券、楽天証券、SBI証券はいずれも現引、現渡の手数料は無料です。
おすすめの証券会社3選
優待クロス取引でおすすめの証券会社を3つランキング形式で紹介します。
あ、ちなみに私は1位から書いていくスタンスです。
1位 SMBC日興証券
超大手の老舗証券会社ですが、クロス取引でもっとも気をつかう一般信用の貸株料が1.4%と安い、取扱い銘柄数がダントツに多い、在庫株数も多い、とあらゆる要素で飛びぬけています。
優待クロス取引をするなら、口座を持っておいて損はないでしょう。
私もクロス取引ではメインで使用する証券会社です。
SMBC日興証券を使用するクロス取引では、信用売り注文を指値で今週中の設定で出す
在庫が取れたら、木曜の19時くらいを目途に、予約していた信用売りの価格と制度信用の買いをセットで成行注文する
翌日の金曜日に市場が開くと、信用の売りと買いが約定すうので、その日の取引終了時間までの間に信用買いの銘柄の現引き処理の発注をする。
これでクロス完了。権利確定日の夜に現渡して終わり。
具体的な方法は別の記事にゆずりますが、SMBCは信用売り注文の有効期間を”今週中”に設定できるので、在庫を確保しつつ、週末まで約定を遅らせることができます。
結果として、早めにクロスして保険をかけつつも取得コストを落とす方法も取れるのが、最大のメリットです。
2位 楽天証券
ネット証券大手の一角で優待クロス取引においては、一般信用無期限の金利が1.1%と最安(2021/07/16時点)。
取引手数料も1日定額コースを選択していれば、信用取引と現物取引の合計額が100万円まで無料。
売りと買いを同時にやる必要があるクロス取引では、売り、買いで2倍かかるとして、1日50万円までの銘柄なら、取引手数料が無料になるのは大きい。
取扱い銘柄も多い。
3位 SBI証券
日本最大級のネット証券で、取引手数料の設定が太っ腹!
アクティブプランを選択しておくと、現物100万円、一般信用100万円、制度信用100万円の合計最大300万円まで、手数料が無料。
クロス取引をする人にとっては、現物、一般信用を各100万の枠を使うと思います。
一般信用無期限の貸株料は1.1%と最安(2021/7/16時点)だが、残念ながら、一般信用短期は貸株料が3.9%と高利なのが玉にきず。
取扱い銘柄も豊富。
番外 auカブコム証券
実は私は使ったことがない。
もともと一般信用の取り扱い銘柄も豊富で使う人は使っていた証券会社。
番外編として注目したのは、2021/7/19から料金体系が変わるため。
1日定額手数料を2021/7/19約定分から適用するため、取引手数料が大幅に抑えられる。
自分も口座を開こうか検討中。
詳細はこちら。
まとめ
- クロス取引でもコストはかかる
- 貸株料、取引手数料、逆日歩など
- 一般信用は在庫切れのタイミングが鍵
- 人気銘柄は優待内容 vs コスト の計算必須
- おすすめはSMBC日興証券
- 一般信用の取扱い銘柄数多数、低金利、取引手数料無料(条件付き)
今回は株主優待取引にかかるコストについて、どのような料金がいつ、どうやってかかるを大雑把に説明しました。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
クロスで豊かに! ではでは。
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